不登校は義務教育についての法律に違反するものではない、というのは明らかです。
そもそも、法律というよりも憲法の理念に違反しないのです。
憲法26条は、先ず第1項で子どもが教育を受ける権利を定めています。
そして第2項で教育を受けさせる義務を述べています。
しかし教育を学校に行かせる義務とは言っていません。
子どもが恐怖心を感じても無理やり学校に行かせる義務ではないのです。
義務教育についての歴史的背景から現在の法律までを見てみましょう。
学校が荒れてて怖いのに…
無理やり行かされるの?
いいえ、無理やり学校に行かせる義務ではありません。
教育は、学校に行くのがすべてではないのです。
憲法26条、義務教育の規定
個々の法律は憲法の理念に基づいて作られています。
憲法26条で義務教育について定めています。
先ず義務教育の理念、歴史的背景について理解しましょう。
教育は3大義務のひとつ
戦前の大日本帝国憲法においては、国民の義務は納税と徴兵の2つでした。
教育勅語によって義務教育を定めていましたが、無償の生徒ではありませんでした。
日本国憲法では、次の3つが国民の義務と定められました。
- 教育の義務
- 勤労の義務
- 労働の義務
義務教育について、戦前との大きな違いは、義務教育を無償化したことです。
これにより、すべての国民に教育機会を確保するという理念を達成しようとしました。
また児童労働を禁止することが、大きな目標の一つであったと考えられます。
戦前は、家業を継いだり貧困が原因のために、幼い子どもを働かせる家庭が多くありました。
国民=大人は、そうした児童からの人権搾取をしてはならない。
子どもに教育の機会を与える義務を課した、と理解するのが適切と思われます。
多様な教育を認める法案
1992年、文部省(現在の文部科学省)は「登校拒否は誰にでも起こり得る」という通達を出しました。
つまり、やっとで怠け病ではないと認めたのです。
学校以外の民間施設で教育を受けても、中学校長が認めれば出席とみなされるようになりました。
私も実際に不登校の中学生について、その経験があります。
中学校を訪問し、毎月の出席状況と学習状況を書面で提出することに合意し、実行しました。
1998年には名称を「登校拒否」という行動形式から「不登校」という状態に変えました。
2014年には超党派フリースクール等議員連盟が設立されました。
学校以外の教育の場=フリースクールを認知する機運が高まってきたのです。
そしてついに2016年に「普通教育機会確保法案」が生まれました。
この法案で、不登校について主に以下のことが述べられました。
- 家で休むのは子どもに認められた権利である
- 学校以外の教育の場も重要である
- 学校はフリースクール等と連携をとる
この法案に関して、以下の抜粋を是非ご覧ください。
児童生徒の意思を十分に尊重して支援が行われるよう配慮すること,不登校というだけで問題行動であると受け取られないよう配慮すること,例えばいじめから身を守るために一定期間休むことを認める引用元:2016年12月22日 文部科学省通知
このように長い歴史を経て、法律で学校を休む権利が認められたのです。
不登校に関する誤解
義務教育の無償化に伴い、すべての子どもが小中学校に通うようになりました。
戦後の経済成長と共に、進学熱も年々高まりを見せていきました。
その象徴として、高校進学率も以下のようにどんどん上昇していきました。
- 1960年 約60%
- 1970年 約80%
- 1974年 約90%
しかし一方で、学校に行きたくないのに行かされる、という状況も生じてきました。
そして学校を休む子どもは登校拒否症という怠け病という扱いをされるようになりました。
1983年には戸塚ヨットスクール事件が生じました。
不登校の子どもを集め、指導と称して虐待し、死にまで至らしめたのです。
世間も少し考えを改め、学校に無理に通わせなくても、という考えも生じました。
1985年には東京シューレという日本で初めての小中学生のフリースクールが設立されました。
まとめ
学校を休む、つまり不登校は法律に違反していません。
義務教育とは教育の機会を与える義務です。
子どもがいじめなどで苦しんでいるのに無理やり学校に行かせる義務ではないのです。
法律は、学校を休む権利を子どもに保証しているのです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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