もし中学生で不登校になったら?
小学校での不登校よりも中学校での不登校のほうが進路に大きい影響があります。
なぜならば、中学生の97%以上が高校に進学しており、そのために生まれて初めての入学試験を受けることになるからです。
(もちろん小学校お受験や中学受験をした生徒もいると思いますが、大多数の中学生には初めての受験となるでしょう)
そして受験の際には内申書も参考にされ、そこには「出席日数」も記載されます。
高校受験において出席日数は重要です。
中学校で不登校であったなら、高校でも不登校が続けば、高校の場合は留年・退学につながる恐れがあるからです。
では、不登校になった中学生は、出席日数の観点からは、どう対応すればいいのでしょうか。
次のような選択肢が考えられます。
・教室に入りづらい場合、保健室登校あるいは(もしあれば)不登校の生徒用の特別教室に入ってすごす
・それもできない場合、教育支援センターに通う*
*教育支援センター
別名「適応指導教室」とも呼ばれる、教育委員会が運営する不登校生徒を受け入れる施設。
教育支援センターは不登校の生徒が自由に通って、本を読んだり、勉強をしたりマイペースで過ごせるようにしている場合が多いです。
ここに通うことは出席として認められやすいといえます。
また、公的機関であって基本的に費用がかからないことも特徴のひとつです。
しかし中学校への復帰を支援することを基本的な目的としており、少し学校的な雰囲気もあることから、必ずしも居心地よく感じられるとは限りません。
学校の保健室もダメ、教育委員会の公的施設もダメ、となったら、残す選択肢は民間の教育施設ということになります。
そして、不登校の小中学生を日中お預かりして勉強や自由な活動を支援する民間の教育施設がフリースクールと呼ばれる存在です。
なお、フリースクールには明確な定義がなく、法的な根拠がありません。
分かりやすくいえば「今日からお子様をお預かりします、フリースクールです」と宣言すれば、それはフリースクール、というわけです。
ちょうど学習塾に定義がなく、法的な根拠が無いのと同じです。
従ってフリースクールを自称する教育施設は、自宅の一室を開放しているケールから、数百名という大規模なものまで千差万別です。
フリースクールには法的根拠が無いことから、以前は日陰者のように扱われていました。
しかし2016年12月7日には「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保 等に関する法律」(以下「普通教育機会確保法」と略す)が成立し、流れが変わりました。
2019年10月25日には文部科学省から「不登校児童生徒への支援の在り方について」という通知が出されました。
この通知において「民間施設において,指導・助言等を受けている場合の指導要録上の出席扱い」に柔軟性を持つことの重要性が明記されました。
具体的には、生徒が所属する中学校の校長が認めた場合には、フリースクールに通った日数を中学校への出席日数としてカウントすることが可能、としました。
もちろん無制限に自己申告で出席が認められるのではなく、フリースクールから中学校に定期的に出席や学習状況の報告が行われるなどの条件付き、ということになります。
(実際に私の経験から、きちんとした報告書を定期的に提出すれば出席としてカウントされることが多いと感じられます。
報告を毎月ではなく毎週のペースで求められる場合もあります)
このように中学生にとってのフリースクールは、高校入試への支援の役割も果たしていることが分かります。
フリースクールは他にも様々な重要な意味を持っていますが、本日は不登校から生じる中学校の出席日数への対応、という観点に絞って述べさせていただきました。