就学支援金はすべての高校生が対象です。
当然ながら通信制高校でも就学支援金は支給されます。
ただし保護者の収入が多いと支給されない場合もあります。
逆に収入が少ないと追加支給される場合もあります。
また、高校の在学月数や履修済みの単位数によっては支給されない場合もあります。
このような複雑さから「就学支援金は支給される?」という不安を呼んでいるのでしょう。
できるだけ分かりやすく詳しく解説していきますね。
通信制高校も就学支援金が
もらえますか?
はい、もらえます。
もらい方が全日制と違うので
ご説明しますね。
通信制高校も就学支援金は支給されます
「すべての」通信制高校で、就学支援金は支給されます。
なぜなら、文部科学省は支給対象を以下のように規定しているからです;
国公私立の高等学校(全日制、定時制、通信制)
だから「当校では就学支援金が支給されます」は不正確な表現になります。
もっとストレートにいえば、不適切な表現です。
一部の高校だけが就学支援金の対象のような誤解を与えるからです。
就学支援金の対象とならない学校を述べた方が分かりやすいでしょう。
それは一部のインターナショナルスクールです。
例えば朝鮮学校高級部は2021年7月現在で対象外です。
(法律が改正されれば対象となる可能性もあります)
就学支援金が支給されるには条件があります。
条件を満たさなければ支給されない場合もあります。
それを次の項で見てみましょう。
就学支援金が支給されない場合
就学支援金は国の制度です。
つまり国民の税金が使われています。
だから無制限に支給されるのでなく、支給の条件や限度額が規定されています。
それは主に以下の条件に基づきます。
- 収入による制限
- 在学月数による制限
- 履修単位数による制限
これらの制限について、次に詳しく述べます。
収入による制限
保護者の収入が多い場合には就学支援金は支給されない規定になっています。
法律用語では所得要件といいます。
具体的には世帯年収が約910万円以上の場合は就学支援金は支給されないことになっています。
年収はあくまでも目安を示すための参考値です。
実際の所得要件の判定には以下の算出基準が使われます。
「課税標準額(課税所得額)×6% - 市町村民税の調整控除の額」
30万4,200円以上(年収目安910万円以上)は支給対象外です。
在学月数による制限
高校に留年し続けてもずっと支給する、としたら不公平が生じます。
ですから最大の在学月数が決まっています。
通信制課程の場合、最大48月まで支給されることになっています。
ちなみに全日制課程の場合、最大36月まで支給されます。
では全日制から通信制に転学したらどうなるでしょうか。
その場合、全日制の在学期間に4/3をかけて通信制の在学期間に換算します。
つまり以下のような計算で、支給期間が算出されます。
例えば全日制で15月在学し、その後通信制に転学した場合は
48月-15月×4/3(端数切捨て)という計算式になります。
つまり通信制では28月分が支給されることとなります。
履修単位数による制限
文部科学省の「高等学校等就学支援金事務処理要領」に以下のように定められています。
支給上限は、学校教育法施行規則に定める卒業要件である 74 単位である。
この74単位は履修単位数であり、修得単位数ではないことに注意が必要です。
例えば今年度30単位の履修登録をしたが全て落第し、修得単位が0単位の場合。
30単位の履修登録において就学支援金が30単位分ほど既に支給されています。
だから修得単位数に関係なく、74単位から履修単位をひいた単位数(74 – 30 = 44単位)が就学支援金の支給対象となります。
就学支援金の支給額
通信制高校は基本的に単位制です。
学校毎に授業料は1単位何円と定めています。
そして就学支援金も1単位何円という金額で支給されます。
2020年4月の法律改正により2021年7月現在の支給額は以下の通りです。
公立の授業料は実質無償化
■公立の通信制高校
1単位あたり336円
公立の通信制高校は、ほとんどの場合、授業料は1単位336円以下です。
だから、公立の通信制高校では授業料は実質無償化されています。
私立の授業料は収入によっては実質無償化
■私立の通信制高校
年収目安590万円以上~910万円未満の場合: 1単位あたり4,812円
年収目安590万円未満の場合: 1単位あたり12,030円
年収目安590万円未満の場合は授業料が実質無償化になります。
なぜなら大半の通信制高校の授業料は1単位あたり7,000円から12,000円の範囲内だからです。
鹿島学園高校・通信制課程の授業料は1単位あたり7,000円ですので、最安値のライン上にあります。
(私が運営する通信制サポート校、KG高等学院、品川・目黒・成田キャンパスは、鹿島学園高校の認定サポート校です)
ただし、一部の通信制高校では1単位あたりの授業料が12,000円を超えています。
もし授業料が1単位15,000円ならば、差額の1単位あたり3,000円(15,000円-12,000円)は有償となります。
では、実際の就学支援金の総支給額はいくらで家庭の負担はいくらくらいになるのか?
それは以下の投稿でシミュレーションしていますので、是非ご覧ください。
まとめ
すべての通信制高校で就学支援金は支給されます。
ただし世帯年収が約910万円を超える場合は支給の対象外です。
公立の通信制高校では授業料が実質無償化されています。
私立の通信制高校では世帯年収が約590万円未満の場合は授業料が実質無償化されています。
年収が約590万円以上~910万円未満であれば1単位あたり4,812円支給されます。
以上の数字は、すべて2020年4月の法改正に基づいています。
法律は常に改正や廃止の可能性があります。
最新の正確な情報は文部科学省のホームページでご確認ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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ワイズアカデミー 塾長
大森善郎